バティック(ジャワ更紗)

バティックとはインドネシアのろうけつ染であるジャワ更紗のことをいいます。
ろうけつ染めとは、蝋で防染し染色する技法。
十八世紀頃から作られるようになり、最初の頃は一部貴族階級のみ着用をゆるされていました。やがて時が経つにつれ一般人のものとなっていき、華僑やアラブ人の影響を受け、宗教、文化などの影響も加わり土地毎に様々な文様のバティックが生まれていきました。
デザイン様式は古典様式、中部ジャワ様式、ジャワ北岸様式に大別されます。

バティックの種類と用途

  • サロン(腰巻)
    筒状に縫い合わせ腰に巻き着用する布。
    幅100-105cm、長さ185-225cm。

  • カイン・パンジャン(胴巻)
    カインは布、パンジャンは長いという意味の腰に巻く布。
    幅100-105cm、長さ約260cm。

  • スレンダン(肩掛)
    折り畳んで右肩から掛ける女性用の肩掛。
    幅30-50cm、長さ約200cm。

  • ゲンドガン(荷布)
    抱きかかえ布。赤ん坊をくるんで抱いたり、荷物を運ぶ時に利用する布。
    大きさはカイン・パンジャンとほぼ同じ。

  • カイン・クパラ(頭巾)
    中部ジャワの男性が正装時にかぶるもの。
    約100cmの正方形、もしくは三角形。

バティックの作成方法

  • バティック・トゥリス(手描きバティック)
    古くからの伝統技法で、溶かした蝋をチャンティンという道具を使い、手描きでろうけつをしたもの。
    製作には何ヶ月もかかります。

  • バティック・チャップ(型押しバティック)
    チャップという銅製のスタンプでろうけつしていきます。
    型で模様をつけているので一定のパターンとなります。

  • バティック・コンビナシ
    型押しのチャップと手描きの技法を混じり合わせたもの。

  • サブロナン(バティック・プリント)
    シルクスクリーンプリントによりバティック風の模様を染めたもの。
    本来バティックとは呼べないのですが、色柄が多彩、取り扱いが楽で安価なのが魅力です。

各地域のバティックの特徴

ジャンビ
スマトラ島の東南部に位置することから、インド更紗の影響を多大に受けており、華やかで美しい文様が多い。模様や配置、色彩がジャワ島のものとは異なる。地の色が黄または薄茶をおびているのが特徴。
インドラマユ
藍染めで繊細な模様のものが多い。空想動物、庭園模様、中国船模様などの異文化の影響が強く表れている。鳥や魚などを草花と組み合わせた模様、布地一面に施される点描模様が特徴。
チレボン
中国からの影響を多く受けており中国的な模様。サロン用の花鳥柄と三角の幾何柄デザインのものが多く、色彩は淡黄、茶、黒と渋めのものが多い。地色は薄茶系の黄色が多く、主模様に重点が置かれ、絵画的な要素が強い。代表的な模様にメガ模様とよばれる雨雲をあらわしたものがあげられる。
プカロンガン
オランダ植民地時代に欧州向けの更紗を作っていたことから、色彩が豊かで花鳥柄が主流。華麗で中国的文様や花束文様も多い。オランダの影響を強く受けたカイン・カンパニー、日本更紗の影響を受けたカイン・ホウコウカイはプカロンガン独特のもの。多くの工房があるが、ブケット(花束)模様で有名なウィ工房のものは、精緻で流麗、ひとつの極みともいえる。
ラスム
茜染の更紗で有名。この赤の美しさは他の生産地の工房では真似できないことから、茜色に染めるためだけに持ち込まれたりしていた。かつては一大生産地として質の高いバティックを生産していたが、現在は粗いタッチのものが多く、三軒程の工房が残るのみ。
クルック
ゲドォクとよばれる手織布を用いた、手作りの風合いがある昔ながらの素朴な更紗。模様は大きく二系統あり、ひとつは格子縞、もうひとつは白生地に植物や鳥、中部ジャワ系の模様が描かれたものが見られる
マドラ島
地模様に特徴がある。主にパムカサン、サムパン、タンジュンブミの三地域で製作されている。パムカサンのバティックは北岸系の流れをくんではいるが簡略化され、種類も少ない。サムパンのバティックは中部ジャワ形式の流れをくんでおり、極細のチャンティンを使い繊細な蝋描きをする。タンジュンブミのバティックは北岸系の特徴が強く表れており、蝋描きも丁寧で完成度が高い。
ガルット
主模様を単純な花鳥や幾何学模様の連続模様とし、白、薄茶などの淡い色調の地色が特徴。中部ジャワ形式の流れをくむ、レレン模様という斜線模様もガルットの特色。現在は三軒の工房が残るのみ。
タシィクマラヤ
ガルットの模様や色調に近いが、模様は細部にこだわらず、点描も大きく、多少の不揃いも気にしない大胆で単純なものが多い。ガルットのバティックが高級品であるのに対し、タシィクマラヤのものは大衆向けとして定着している。
ジョグジャカルタ
スラカルタと並んで古都として宮廷文化の中心をになった地。 ソガ染めの茶と紺のものが大半を占める。茶は焦茶あるいは赤茶がかっている場合が多い。代表的な模様として斜柄のパラン模様、七宝柄風のカウォン模様、ジャワ文化の世界観をあらわしたスメン模様などがある。
スラカルタ(ソロ)
王宮文化の伝統が残る古都。 ジョグジャカルタと同じく藍とソガ(茶色)の二色だけのものが大半。違いはソガの色が黄味がかった赤茶系となり、地色も薄茶となる。ガルーダ文、寺院文様、動植物などユニークでしゃれた柄のものが多い。

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